2014年8月10日日曜日

死亡順位6番目(4%) 食道がん直接死因は呼吸不全75%





食道がんは扁平上皮がん(胸部上部側)と腺がん(腹部側)に別れるが、日本では90%以上の頻度で扁平上皮癌が多い。

食道には漿膜が無く気管支、胸膜、心膜、肺に接触転移し易く、正中(縦面)では咽頭から始まり頚・胸部を経由し横隔膜を貫通して腹部にある胃の噴門部(胃の入り口)で終わる。横断面では肺、心臓、椎体に囲まれて位置し、広範囲なリンパ郭清等、手術の難易度は高く、侵襲性も強く、概して予後は悪いと言う。 

術後にARDS(急性呼吸窮迫症候群を合併し易く40%以上の死至率と言われていますが、有効な薬剤や治療法は現在ありません。

食道がんは術式で片肺を圧排虚脱させる(多くは右肺)事から肺合併症を惹起し易く、また術後70%以上に嚥下痛を伴い、肺炎を誘引する様です。尚、肺は食道や気管支等と、胚の発生学では同じ消化管由来で、誤嚥を招き易い構造体である。

肺がんの73.6%、乳がんの66.7%、悪性リンパ腫の62.5%が呼吸不全で死亡しています。

代表的レジメンでは、5-fuは血管収縮による心筋障害、間質性肺炎、消化管潰瘍と出血、肝臓障害が、CDDP(シスプラチン)はアナフィラキシー、腎障害、骨髄抑制による汎血球減少症、間質性肺炎、イレウス、消化管出血、低マグネシウム血症。

抗がん剤全般的に言える事だが、消化管の粘膜バリア機能の破綻、好中球減少や汎血球減少症による感染等は致命的で重篤な症状が出現する。



日本食道疾患研究会9143例での5年生存率は病理ステージ分類で、StageⅠ=58.0%StageⅡ=47.1%、Stage Ⅲ=32.8%Stage Ⅳ=14.7%
Comprehensive Registry of Esophageal cancer in Japan 2nd edition. Dec.1999
http://www.esophagus.jp/pdf_files/crec_jpn_2nd_201006.pdf


他の癌死亡のメカニズムは 《がん直接死因とその発生 PDF》   を参照してください。








 

 

2014年7月31日木曜日

がん死亡のプロセスとチャート(直接死因とその発生):


死亡調査は人口動態等でも数多くあるが、その多くは法医学的調査(原死因統計)で、直接死因やそのメカニズムまでには至っていない。主には形態学的な剖検調査(retrospective)ではあるが、癌患者数の多い(70%)死因調査のデータから「がん患者」だけを対象に再集計したのが下のグラフである。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
原死因が癌(全ての癌死)の直接死因率では「呼吸不全」が最多の50%、「多臓器不全」が27%、末梢循環不全10%である。 他の医療機関の報告やスタディでも急性肺疾患/急性呼吸窮迫症候群(ALI/ARDS最進の医療を尽くしたとしても40%以上の死亡率で、その基礎疾患は「敗血症sepsis」が殆どと言われ、低酸素によるDICの合併に至らず死亡しています。が、しかし、ALI/ARDSに対応できる有効な薬物や治療法は現在も存在していません。
 
データから観察できる傾向として、消化器がんは出血性虚血から多臓器不全(27%)、その他の癌は敗血症を併発し呼吸不全(50%)で死亡する症例が多い。 肝臓・腎臓がんは臓器単発不全死との印象ではあるが多くは合併を招く。例えばDICでは最も早く且つ高頻度で腎不全を発症し、ARDSからは低酸素の為肝肺症候群や肝腎症候群を合併し易い(肝は心臓供給血液量の1/4が循環し、循環血が低酸素になると門脈血依存されるため)。
単発臓器不全による死亡率50%に対し複合臓器不全では88%の死亡率である。敗血症(sepsis)或いは全身性炎症反応症(SIRS)からの合併死亡例ではDIC75%、腎不全76%、肝不全78%、肺不全100%、消化管出血100%報告されている。(日消外会誌 15(1);74~77 1982年 「敗血症における多臓器不全」 札幌医科大)。
肝不全による全身性出血は肝細胞で産生される血液凝固因子が不足し、線溶因子(血栓溶解因子)が活性化するからと言われている。
そのフロー・チャートは下図。 
 

 
 


 
 
 
 
《がん直接死因とその発生 PDF》 の最終稿の複製文です
 
参考文献や引用元、癌種別はリンク先を参照して下さい。