2012年2月9日木曜日

ホンマかいなぁ~? 深夜の宴のザクロ酒

ザクロで癌が死ぬらしい。

ホンマかいなぁ~!!! \(o)/ !(-^^-)

まんざらデマばかりだけでも無いらしい。
更年期だけでなく前立腺ガンまで効くとなると、ザクロは下半身の味方かも・・・?

46人のPSA再発とされた患者のPSA推移をモニタリングした結果、ザクロジュースが前立腺癌細胞に対する増殖抑制と細胞死誘導作用が確認されたと結論し、Clinical Cancer Research200671日号に報告されていた。

効果
1)PSA値が半分以下になった。4人(8.7%
2)PSA値減少 16人(35%
次が凄い!
3)PSADTPSAが2倍になる時間)では術前15ヶ月が54.7ヶ月に延長 38人(83%
(もし、これが事実ならPSADTが生命リスクである90日でも328日に延長され、転移はもとより癌死も妨げる事が可能になる。)
4)12%の増殖抑制 38人(84%

発表したのは、薬屋ではなく米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAllan J. Pantuck氏らの研究チームで、彼達は『ホルモン療法の早期開始は生活の質の低下をもたらし、長期にわたる治療は骨粗鬆症を引き起こす。臨床的な進行を遅らせ、ホルモン療法開始を先送りできる治療の必要性は非常に高い。』としている。
またJ. Pantuck達は『患者血清を用いたin vitro実験でも、抗酸化活性の上昇や、前立腺癌細胞株に対する増殖抑制と細胞死誘導作用が確認された』と述べています。(日経メディカルより)
使用したザクロジュースは 資金提供者のワンダフル種のザクロジュース(POM Wonderful社製)だが、TPPも頓挫し、イランへの圧力で窮する日本では、ザクロ入手は困難かも・・・。
Wonderful社製ではないけれど、取り敢えず、深夜に踊る癌細胞にザクロ酒を、飲ましてみます!。
2ケース手配しました。(-^^-) 黒でもなく有名な本場イラン産でもなく只の国産品です(ベンダー名古屋)。

イランのザクロが効くならと、イラン男性の前立腺癌事情を調べてみると、ありました。
2008年でのDataでは イラン人男性の前立腺癌罹患率は世界130番目で11.5人/10万人、日本は81番目で22.7人/10万人、最下位(183番目)は幸せの王国ブータンで1.7人/10万人です。幸せ世界一との説得力はこんなところでもありました。堂々1位はマルチニーク島の人達で173人/10万人ダントツ。
イランの人達!これでは説得力がありません!モット、モット、ザクロ食べてみたら? 

Note
in vitro   試験管内で 。試験管で癌が死んでも、只の単なる薬学的反応で、患者には何の意味も持ちません。ただし、玉とか局部を浸したり、漬け込もうと考えている患者には参考になるかも知れません。
まるで余談になりますが、ザクロにエストロゲンなどの性ホルモン成分が含有されていた場合は皮膚からも体内(血管)に吸収します。他の成分は小腸(飲用)や直腸(浣腸)などの吸収細胞からとされています。名古屋市大の発表によれば、5%希釈ザクロジュースで癌は30分で死滅したとあります。効くかも・・・。ザクロ浣腸や玉浸しなど・・・、僕はしませんが・・・。

本研究結果に対しては他機関での追試はなされておりません。(彼達以外のダーレも保証はしていません) 彼達のステージではフェーズ2に位置ずけています。ザクロの安全性は確証済と言う事でしょう。このプレスから3ケ月後、日本の名古屋市大がザクロと前立腺癌細胞の知見を明らかにしていますが、in vitroでは前立腺癌細胞がザクロで死滅する事は確かな様です。ザクロ種、産地は明らかにしていません。資金提供者も明らかにしていませが、名古屋で想像出来る飲料メーカーは数多くありません。
フエーズ3のランダム化プラセボ対照2重盲検の募集がプレスでありましたが(2007/9)、その後の情報は得られていません。

フェーズ 1=安全性 2=少数臨床試験 3=マス臨床試験

PSA値と癌病性の正相関は必ずしも担保されている訳ではありません。
併し乍ら、PSA値が高く病院からホルモン治療を迫られ、逃げ回っている患者には渡りに船かも知れません。    逃げたいですよ・・・ ネ。?

参考文献

2012年1月19日木曜日

癌の棲家(Niche)とそのファミリー

『Oct3/4』『Sox2』『Klf4』『c-Myc』 この4つの転写因子は原初『iPS細胞』作成の為に24候補から選ばれた4遺伝子です。高効率ですが癌化が原因で『c-Myc』を除外して残った3遺伝子では作製の効率が悪く、最終的には24の候補(LIST)にも無かった魔法の遺伝子『Glis-1』を加えることで高効率で且つ安全性の高いiPS作製方法を樹立しました。  

この『c-Myc』 は『Klf4』と同じ原癌遺伝子(プロトオンコジーン)ですが、機能役割は手術や怪我での細胞修復(傷口を元に戻す)で威力を発揮します。高効率なのですが粗製乱造の傾向があり癌幹細胞があった場合は、見境無く癌の増殖を招きます。

実際『癌が手術で散った』とか、『手術創に沿って癌が群生していた』類の世間話や風聞は案外この『c-myc』がビンゴかも知れません。『癌幹細胞説』自体は尚未だ仮説なのですが・・・、転移、増殖、耐剤性等に対し大変分かり易い理論と、説得力をもっています。

さて、癌幹細胞の居所(ねぐら:産処)ですが、ニッチと言われる微小空間にいます。ニッチ(NICHE)とは壁面などの窪み(凹)で、花瓶とかの花器が飾られている空間を言いますが、生環境としては低酸素で普段は冬眠(細胞サイクリンではG0期)しています。

前立腺癌幹細胞の場合Nicheはどうも近傍血管内被(リンパ菅内皮)にもあるらしく、ある刺激を受容した場合に新たな細胞分裂をしますが、もし癌幹細胞を出産した場合はNicheは狭いので新生幹細胞は放出されて新たなNicheを求めて流離います。これが血行転移(リンパ行性)の原始と言っていいと思います。

がん細胞が脱分化(先祖返りで幹細胞になる)した場合も同様に新たなNicheが必要になり、これも基底域にあれば浸潤の原始ではないかと思います。
癌前駆細胞(TA期)がコミットメントされ、もし分化されれば通常な癌と成長します。
分化されずに分裂を繰り返した場合未分化癌組織となります。

Nicheは何故隔離された空間かと言えば、他の細胞組織の生環境を適正に保持するためではないかと考えられています。
そのひとつは、不老不死の幹細胞を維持するためで、他の細胞の様に分裂チケットであるテロメアの消耗がありません。Niche内の住環境空間はテロメラーゼで常に活性化されていますし、低酸素環境もそのうちのひとつかもしれません。違った言い方をすれば、Nicheがあって初めて幹細胞となるのかもしれません。

癌は血液から作られると言う千島理論をご存知な方は、カナリ、アブナイ話になってきたとお思いでしょうが、千島理論の場合は血液中の赤血球が癌化すると言う事なので安心して貰っても良いと思います。

癌幹細胞を頂点とする癌ファミリーですが、今まで考えてこられた様な単純なものでは無く、分裂も転移も不可能な塊だけのものや、ある条件下でのみ活動するもの、多士多勢といった様相です。未だ全てが解明された訳ではありません。
癌細胞のリセッターとして『Glis-1』の応用研究もなされているようです。

成功すれば『末期がん』という言葉も過去完了形となり、抗癌剤ともBye-Byeです。

癌幹細胞説は近い未来に、確実に、パラダイムを崩壊させようとしています。



NOTES

iPS細胞  36歳白人女性の頬細胞や関節滑膜とで繊維芽細胞が作製された。
レトロウイルスでホストに導入(感染)させた遺伝子は原初4種類の転写因子。
三胚葉の分化可能な多能性幹細胞ですが、万能性を持つ初期胚(受精卵)や3次元臓器等の作製の可能性は現在は? (山中伸弥教授主幹 京大G)  

転写因子   DNA(遺伝子レシピ)からRNA(伝令・実行部隊)に解読コピーして遺伝子の発現(実行)を行う因子。

C-myc              小細胞肺がんでは多量に発現しているようです。  

自己修復能 ヒトでは皮膚とかが再生されますが、イモリなどは骨まで自己修復されます。
(ヒトの体形成能は胚から胎児の完成で終了し、後は脱分化等によるメンテナンス能が残ります。)

レトロウイルス RNAからDNAに逆転写する酵素をもったウイルス。他にセンダイウイルスやアデノウイルスとかがある。

原癌遺伝子  ヒトでは現在100種ほど同定されています。細胞の増殖を必要とした時に発現します。

TA(Transit Amplifying)      TA細胞は幹細胞から分裂して最終分化前の分裂可能期にある状態の細胞。分裂制限(テロメア)の監視下にある。

コミットメント  アクチビン濃度やHes-1などによる臓器への分化方向性への誘導。
詳しくは iPS Trend(文科省 再生医療実現に向けて) 。

パラダイムの崩壊 多少品性は落ちますが『ちゃぶ台返し』とでも和訳してください。

幹細胞説による癌医療
1)ドーマントな状態を維持する。(休眠させておく)
2)強制的に完全に分化させる。
3)Nicheの生環境を操作する。
4)初期化させる。(Glis-1等リセッター)
などが考えられます。

下リンクでは癌幹細胞と治療の展望について、わかり易く解説しています。
iPS Trend 癌患者様へ 



2011年12月19日月曜日

癌の家柄(iPSの氏素性) PSA再発(前立腺がん)治療は有益か?

前立腺癌の第一次処理後における特異的マーカーであるPSAのカットオフ値以上で生化学的再発とされ、セカンドラインとしての放射線或いは内分泌治療が開始される。が、見えない癌に対し、これらの治療は患者にとって有益であろうか?その後必発するであろう再燃でエンドラインとして抗がん剤等での治療もまた同様に、な患者にとり有意ある対応であろうか・・・?。私は甚だ疑問だと思う。

近年iPS細胞、ES細胞等の還元論的医概念では癌幹細胞(前駆細胞)説(仮説)が優位で、一部臨床的にも同定されている。従前のがん治療で奏功が認められているのは癌娘細胞だけとし、転移、増殖、浸潤能があるとされている肝心の癌幹細胞(癌母細胞)及び未分化の癌細胞は治療により逆に、癌は増殖増進していた事が報告されている。

内分泌治療(アンドロゲン枯渇或いは、アナログ)や放射線での癌の退縮は高奏功を観察できる。但し、上皮組織内にある腺細胞にある癌だけで、がん幹細胞は細胞死していない。逆にがん幹細胞の分裂へのヘルパーの役割(ラス増殖因子)を担ったトリガシグナルとなり癌幹細胞の分裂増殖を促進させ、且つ悪性度も増加させている。このことは以前に述べたWnt-5aやNestinの関与する一因子と深く想定される。

前立腺がんの多数は腺癌とされ(90%)、分泌細胞由来ではあるが、基底細胞由来も確認されている。この事実は未分化細胞の時点で既に癌化(DNAエラー)されており、分化後のG0期サイクリン休止(static)では細胞の分裂は不可能であるが、放射線照射などで娘癌細胞も可塑的に癌幹細胞に還元する可能性は否定できない。否定すればIPS理論は成立しないからである。


NOTES

1) 現時点での、癌幹細胞(前駆細胞)のプロモータとしては『PSCA (Prostate Stem Cell Antigen) 』,レポーター分子としては『GFP (Green Fluorescence Protein) 』が有力視されています。低分化癌GS8以上などの悪性腫瘍のマーカーとして期待できそうです。

2)乳がん 脳腫瘍 大腸がん 前立腺がん 膵臓癌 骨髄性白血病 等が同定、若しくは癌幹細胞の存在が認識されています。

3)がん細胞全てに浸潤や転移能は無く、単離したがん細胞が他臓器に接着することなどは困難と云われています。あるとすれば癌幹細胞です。もしくは、骨に転移したとするならば、骨の未分化細胞が前立腺由来のがん細胞に化けたかである(これは空想的発想です)。

4) 一旦成熟した細胞は多分化能を持つ幹細胞に戻る事も、分裂することも不可能とされてきたが 癌幹細胞は自己複製(コピー)も娘細胞も非対称に増殖させる事が可能とされている。またiPSも分化した細胞から3胚葉(外胚葉、中胚葉、内胚葉)の多分化可能な幹細胞を作成することが可能とされています。

5)前立腺幹細胞からの最終分化の前工程で中間細胞期があり、アンドロゲンの作用を受けて育った細胞が腺細胞と分化しします。
従ってホルモン治療で癌の退縮は腺細胞となりますが、幹細胞や神経分泌細胞は退縮しません。
腺細胞の細胞サイクリンに比べ基底細胞の細胞分裂は遅く、放射線や抗がん剤の効果が低い原因と言われています。
 


参考サイト
『前立腺癌の増殖亢進を引き起こすwnt-5a』問題について
加藤茂明グループ等による不正論文(捏造)疑惑がありますが、当論文の適否は決着していません。(2012/3追記)

『MAB(ホルモン療法)で前立腺癌の転移を誘発促進させるネスチン』について

前立腺癌における神経内分泌細胞の発現とその臨床的意義(京都府立医大)
進行前立腺通常型腺癌における神経内分泌腫瘍細胞の存在はホルモン療法にお
ける再燃の危険因子と考えられた。

抗がん剤で耐剤性 癌増殖  Nature Medicine から (2012/8/17)

2011年6月10日金曜日

夜間治療(クロノテラピー)抗がん剤と月の満ち千き  深夜に踊る癌細胞

IPS細胞から分化形成した臓器が移植後免疫反応により拒絶された(米グループ)。これをうけて原因は分化した細胞の癌化(腫瘍、テラトーマも含む?)とし、GLISー1(グリスワン魔法の遺伝子)から作成された安全なIPS細胞により癌化(腫瘍含む)は防げると英科学誌「ネイチャー」で発表した(京大グループ)。

ヒトの細胞分裂には出産時や死亡時の潮の満ち干きと同様に月の運行の影響があるらしい。
生殖遺伝子の減数分裂(父親と母親の遺伝子の交換時)を経て受精し、体細胞分裂(体形成)して出産までに約46回の細胞分裂をおこなう(細胞数約35兆Cellの代謝)。ヘイフリックによれば約60回の分裂でテロメアが終了するので、あとの細胞代謝がないとすれば、出生から体死亡までの残された代謝回数は14回以上の計算となるが、臓器や部位により代謝頻度はことなり、幹細胞のサポートが不要な組織もあるかも知れない。体全体で細胞数60兆Cell、細胞種200種以上。

代謝しないのは脳細胞、神経細胞。従って損傷をうけた場合は自己再生能はありません。代わりに発癌もありません。
心臓は周期30日とのデータがありますが、滅多に代謝しない様でこれも発癌は無いようです。

代謝が頻繁なのは骨随(血液)、毛根と腸粘膜(腺細胞)や胃で、抗がん剤で一番早く直接的な影響をうけます。が、代謝が早い分、細胞修正能は高く何れ治癒再生されていきます。放射線では晩発性副作用(血管などの損傷から)や他部位の副作用はこの代謝サイクリンが同様に拘わっています。

さて前立腺細胞周期ですが、抗がん剤や放射線(60Gでは)は効果が低いので、代謝周期は極めて遅いと思われます。骨は約90日の代謝といわれていますが成人後はもっと代謝が遅いのではないでしょうか。
当然細胞代謝周期は年齢とともに遅くなり、癌の進行も遅くなる傾向があります。

前書きが長くなりましたが、さて、本題です。今使用されている抗がん剤は徐放剤(徐々に放出する)であろうと思いますが、がん細胞が分裂する時にこそ放射線や抗がん剤の投与が有効であろうとの発想から、細胞分裂の様子をプレパラートで観察した結果、正常細胞は昼さがりから分裂し、がん細胞は宵から深夜にかけて活発な分裂活動のリズムを同定した。この夜行性のがん細胞に抗がん剤治療を夜に施行したところ副作用も軽微で良成績を得たと言う。臨床施行している施設もあるようです(クロノテラピー)。



出典
夜間に抗がん剤投与の治療が進行大腸がんや卵巣がんに効果 横浜市立大学医学部第2外科
副作用を抑える癌のクロノテラピー(時間差治療)

Notes

テロメア:染色体両末端(3‘ 5’)にあって遺伝子損傷保護CAPと思われてきたが、細胞分裂の回数券(ヘイフリィクによれば60回程度の分裂で細胞死する)説が現在の認識である。60回細胞分裂で115京の細胞を複製する。癌細胞の場合はテロメラーゼと呼ばれる酵素の常態活性化でテロメアのチケットが延伸され無限の分裂能を獲得し、癌は細胞死しない。
ヒトではテロメラーゼの活性は無に等しく、あっても微量で生命の根幹である幹細胞や生殖器官で認められるに過ぎない。

 

テロメアの証明:細胞60回分裂説(細胞数115京)があるが、まるでデタラメな説でも無い様である。細胞代謝は赤血球120日、心臓22日、腸管25日、最も頻繁なのが小腸で2日であるらしい(Ⅰ期M24時間G024時間)。成体細胞数(ケラチン化する細胞含め)60兆(実際に代謝があるのはそのうちの1兆/日であるらしい)が2日で総入れ替わりと仮定すれば100年間では360×100/2 ×60兆=108京。 1兆/日説なら60兆では60日で総入れ替えなので3.6京となる。一番タイトな計算ではやはり人の生理寿命は120年か・・・。

 

テラトーマ:奇形腫。

1994年転移性大腸がん「くじ引き試験」と1997年同試験(患者数をふやして、その他同条件追試)での結果は正反対となりました。つまり大腸癌では効果が望めないことになりますが、大規模コホートではまた違った結果になる可能性もあります。
他の癌腫についての試験はありません。

2011年5月14日土曜日

転移8年と癌死5年のミステリー


こちらに移転しています。
前立腺がん再発治療(癌:局処病か全身病か)
http://ina-takasi.blogspot.jp/2013/02/blog-post.html






癌19年。前立腺がんはもっと晩生で35年で顔がみえると教わってきていたと思う 桃栗3年柿8年癌の実19年 。だが、前立腺がんでは、こと再発となればPSA再発から8年で転移が成立し、癌死にいたるまで5年が定説といわれる。この発信元は『日泌会・厚生科学研究班編/医療・GL(06年)/ガイドライン』であるが、その引用元はジョンズ・ホプキンス大にて1982/4から1997/4にわたり臨床検された報告書http://jama.ama-assn.org/content/281/17/1591.fullにある。


ここでは1977人のRRP(根治的全摘)後のロンタム15年のトレサビリィティで誰しもがネオアジュバンド(術前補助治療)もしくはアジュバンド(術後補助治療)をうけずに試験に参加した。従って外乱的ベクトル(薬物や放射線の細胞組織的)の作用しないピユアーなRRP後の生化学的再発(PSA再発)の評価、即ち『全摘後のPSA上昇とその後の自然誌科学』(Natural History of Progression After PSA Elevation Following Radical Prostatectomy)なるタイトルの報告書である。
果たしてトリックは存在するのだろうか?

このcontextでは前回の 全摘後のPSA再発は約半数でその60%以上は非転移もしくは非がんである。(前立腺がん)とは異なり原文ではRRP後15年でPSA再発は1997人中315人(15.7%)。内11人は早期治療を開始して統計からは除外されている。残りの304人中103人がPSA再発から8年(中央値)で転移(臨床癌)が出現し、転移確定後ホルモン等の治療をうけたが、その5年後(中央値)で44人(108人中43%)で癌死が認められた。とある。なるほど数理上トリックは認められない。

だが、これこそ正にトリックで、304人から転移した103人を除いた 201人(63%)はRRP後15年経過後でも癌の存在が臨床的に認められていない。非転移率はGS7以下で75% GS8以上だと60%。比率的に言えばPSA再発で15年以内に転移判明(臨床癌)されたのは32%に過ぎず、60~75%はいまだに病理的癌の疑いのままである。


トリックとは、本来この60~75%を占める転移の定まらない未知数を解とすべきではないだろうか。・・・。

正解は『PSA再発から無治療した場合で、転移が出現したとしても多数は15年以上であり、32%の人はPSA上昇から8年で転移している。』 が適切ではないだろうか。







2011年5月5日木曜日

『MAB(ホルモン療法)で前立腺癌の転移を誘発促進させるネスチン』について


耐剤性として知られていた『抗アンドロゲン除去症候群 AWS』では投与された抗男性ホルモン剤に応答して結果的に癌細胞増殖を誘発しているのではないかという疑念があった。この問題は東京大学を主幹としたグループで糖タンパク『Wnt-5a』の異常的なプレゼンスを同増殖因子と実証する事に成功した。プレスの内容によるとサイズで1.5倍、細胞数では3倍の増殖である。(2011/3)

では抗ホルモン剤投与により転移能に異変は無いのかと言えばそうでも無く、ネスチン(nestin)と言われるタンパクがアンチアンドロゲンに対応し前立腺がんの全身転移を促している事実を明らかにしている。(ジョンズホプキンス大2007/10)

この発見はいまだ非常に予備的なものに過ぎず、前立腺癌患者や医師はこの療法を中止するべきでないと注意を促しているが、米国に於けるホルモン治療は本邦と異なり低リスクのPSA再発に対して積極的な治療は限定的であり、多くが既に転移を有している患者群に対しては延命的見地からも有効で、意義のある事に他論はない。

然しながら、Low riskのPSA再発の患者には、むしろ、延命を願って自殺を急ぐ結果になりかねなく、早期予測、早期治療の優位性は理解できるのだが、治療開始にはPSA値の判断と、他にも明確な臨床的エビデンスが必要ではないだろうか。


Abstract
Nestin  胎生期にある一過性に発現する神経幹細胞特異的分子。
①小細胞肺がん、乳がん、転移性前立腺癌などに顕著に発現している。
②ネスチンは前立腺癌ホルモン未治療の原発巣株組織には発現していなく、アンドロゲン枯渇などの治療で顕著に出現しだす。
③癌細胞株からネスチンをノックダウンさせれば、転移が1/5に減少。

Detail
In vivo での参考 『苛めると癌は怒る! は本当か?』
http://ina-takasi.blogspot.com/2011/04/psa-psa6.html

『前立腺癌の移動と転移における中間径フィラメントであるネスチンに関連した幹細胞の役割』
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/pubmed/index.php?page=article&storyid=200

『前立腺癌の標準治療は癌の転移を促進する可能性ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター* 2007年10月1日』
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/cancer_reference/index.php?page=article&storyid=189

前立腺癌における神経内分泌細胞の発現とその臨床的意義(京都府立医大)
進行前立腺通常型腺癌における神経内分泌腫瘍細胞の存在はホルモン療法にお
ける再燃の危険因子と考えられた。

2011年4月23日土曜日

苛めると癌は怒る! は本当か? うれピクない3倍返し

全摘後PSA再発と言われて、ホルモン治療を2年で放棄した例がある。
術前PSA=6.8 GS=9のCaseである。ホルモン治療を一度でもした場合、癌は変質するであろうか?治療放置後のPSAは?そして5年経過した時点での病態は?。
通常のホルモン治療(間歇的投与を継続)をした場合との2例で癌の変質をみてみる。

下グラフをみても理解できるように、通常一旦ホルモン治療をすれば、再度PSAが上昇する場合の傾斜(増殖度)は前回の傾斜の約3倍になり、治療前のPSA上昇傾斜を維持しようとすれば薬剤の投与量も追次的に増やさざるを得ない。半減期の変化にも顕著に現れている。
『癌をいじめると、癌は怒る』と近藤誠氏は言っているようだが、ある意味で本当かも知れない。(但し、PSAと癌の正相関が前提条件で、現時点では確実に担保されていない)

やがて何年か後に必発の『PSA再燃』でも同様で、死ぬまで連綿と放射線やホルモン、抗癌剤と治療を続けざるを得ない。実に麻薬的な治療と言えるが、患者には他に選択肢は無い。PSAを再発予測因子とする以上、これは事実である。
(癌は耐剤性を獲得し、或いは新生血管を得て進化してゆく過程も、免疫から逃走する仕組みも、実は体内での胎児の成長と同じプロセスを形成する。精子も母乳もPSAも免疫から言うと全て他人(非自己)としたタンパクである事からも充分納得がいく。だが、PSAの対ホルモン特性は必ずしも癌細胞因子とは断定できない。)

通常のホルモン治療のΔPSA上昇のCASE(全摘後放射線奏功無く内分泌治療 癌再発なし)




























次のケースはホルモン治療を2年で放棄した場合のPSA変動グラフで、拒否後のPSA上昇は当然であるが、予想では4年経過でRRP以前の癌性の方が断然と有利になる。

治療を途中放棄したPSA推移とPSA予想曲線(破線は予想曲線)






























このケースでも記録によると全摘後PSA20で何ら症状は無く、治療拒否4年経過後でも健在との事であるが記録はPSA20の後で途切れている。以後経過は不明。
GS9ではPSA10でも転移は珍しくなく、PSA20で無癌は一寸不可解ですがPSA上昇データにはそれなりの信憑性がありサンプルとしました。(半減期dataにはやや疑問がありますが)逆転時のPSAは予想で50となります。冒頭での通常ホルモン治療のケースでもPSA20で無癌です。この2件ではPSAの持つ意味(再発予測因子)は無意味或いは否定となりますが、これらのグラフからは一旦ホルモン治療を行うとPSAの上昇傾斜は治療前の3倍の増殖速度となる事がわかります。
(東京大学からWnt-5aでの癌サイズ増大が1.5倍と発表がありましたが、細胞総数では丁度2.5倍になります。或いは、Nestinが関与している可能性もあるのかも知れません。)
残念ながら止める手立てはありません。


PSA再発→臨床再発8年→癌死5年について

何故、癌の姿がなく、PSAだけが顕著に出現するのでしょうか、路頭に迷った旅人は逡巡しますが原点に戻るとき、例え転移、若しくは残留癌があったとしても、『前立腺がんは進行が遅い』と教わった事に気がつきます。30~40年で一人前の癌に成長する場合もあり『再発から臨床癌中央値8年、癌死5年』と言う日泌会・厚生GLの報告には素直に頷けない。臨床癌1cm~4cmでは癌細胞の分裂は31回~34回を要します。これはPSADT(PSAが2倍になる速度)4回/年、即ち3ヶ月でPSAが倍にならなければ実現不可能です。『PSA20以下では99%転移なし』の報告があるように、GS9以下では原発出現から即転移とはならない。多くのRRP手術の悪性度はGS8以下ですから論理的整合性が無く、転移癌はエリートだけ(混合型からスピンアウト出来る有能力癌細胞だけ)とは言え術前の癌性に由来する訳ですから、論理的飛躍の域は否定できません。術後の過剰(癌に反映していない)なPSA産生のメカニズムは明解にされていません。いまだにPSA再発(所在不明な癌)が理由とされています。





Notes
1)Nestin  『MAB(ホルモン療法)で前立腺癌の転移を誘発促進させるネスチン』について
http://ina-takasi.blogspot.com/2011/05/blog-post.html

2)Wnt-5aの発表概要:LINK
東京大学分子細胞生物学研究所(所長:秋山徹)の核内情報研究分野の高橋さゆり(大学院生)と加藤茂明教授らは、抗男性ホルモン剤療法に抵抗性を示す前立腺癌において、高頻度で見出される男性ホルモン(アンドロゲン)受容体(AR)の遺伝子変異をマウスに導入したモデル動物を確立した。このモデル動物を用いて解析した結果、「Wnt-5a」という細胞外分泌タンパク質がAR 点変異体と協調的に作用し、通常は男性ホルモン遮断薬であるはずの抗男性ホルモン剤に応答して、前立腺癌の増殖亢進を引き起こすことを実証した。(2011/4/28追記)

3)PSA再発治療のデータでは治療継続のデータはその特性から信憑性があると思います。治療放棄したかたのデータの確証は得られませんでしたが、他に同事例はなくサンプルとしました。

4)PSA値と癌病勢の相関は担保されていません。PSA予想特性は予想の域内です。

5)PSA再発は無視して良いとの主張ではありません。あらゆる論議があって当然と考えております。再発と告知された、或いは既に治療中の人々のメンタルサプリメントに、或いは参考にでもなれば幸いです。事実私もPSA再発とされた罹患者であり、圏内の人です。

6)データを許可なくお借りしましたが、ご笑許ご理解賜れば幸いです。

関連記事
『前立腺癌の増殖亢進を引き起こすWnt-5a』問題について
http://sites.google.com/site/inascienceart/sankou-bunken--shiryou/--mab-horumon-ryouhou--de-zenritsusen-gan-no-zoushoku-koushin-wo-hikiokosu---mondai-nitsuite
加藤茂明グループ等による不正論文(捏造)疑惑がありますが、当論文の適否は決着していません。(2012/3追記)
前立腺癌における神経内分泌細胞の発現とその臨床的意義(京都府立医大)
進行前立腺通常型腺癌における神経内分泌腫瘍細胞の存在はホルモン療法にお
ける再燃の危険因子と考えられた。

抗がん剤で耐剤性 癌増殖  Nature Medicine から(2012/8/17)