食道がんは扁平上皮がん(胸部上部側)と腺がん(腹部側)に別れるが、日本では90%以上の頻度で扁平上皮癌が多い。
食道には漿膜が無く気管支、胸膜、心膜、肺に接触転移し易く、正中(縦面)では咽頭から始まり頚・胸部を経由し横隔膜を貫通して腹部にある胃の噴門部(胃の入り口)で終わる。横断面では肺、心臓、椎体に囲まれて位置し、広範囲なリンパ郭清等、手術の難易度は高く、侵襲性も強く、概して予後は悪いと言う。
術後にARDS(急性呼吸窮迫症候群)を合併し易く40%以上の死至率と言われていますが、有効な薬剤や治療法は現在ありません。
食道がんは術式で片肺を圧排虚脱させる(多くは右肺)事から肺合併症を惹起し易く、また術後70%以上に嚥下痛を伴い、肺炎を誘引する様です。尚、肺は食道や気管支等と、胚の発生学では同じ消化管由来で、誤嚥を招き易い構造体である。
肺がんの73.6%、乳がんの66.7%、悪性リンパ腫の62.5%が呼吸不全で死亡しています。
代表的レジメンでは、5-fuは血管収縮による心筋障害、間質性肺炎、消化管潰瘍と出血、肝臓障害が、CDDP(シスプラチン)はアナフィラキシー、腎障害、骨髄抑制による汎血球減少症、間質性肺炎、イレウス、消化管出血、低マグネシウム血症。
抗がん剤全般的に言える事だが、消化管の粘膜バリア機能の破綻、好中球減少や汎血球減少症による感染等は致命的で重篤な症状が出現する。
日本食道疾患研究会9143例での5年生存率は病理ステージ分類で、StageⅠ=58.0%、StageⅡ=47.1%、Stage Ⅲ=32.8%、Stage Ⅳ=14.7% 。
(Comprehensive Registry of Esophageal cancer in Japan 2nd edition. Dec.1999)
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