2010年5月28日金曜日

二つの祖国(身体の意思 頭の意思)




癌を体験して、考えた。人間とは?生命とは?進化とは? ... このフレーズは『桃色吐息』で書きましたが、自分は何処から来て、何をして、何処へ行くのか?そして自分は何者なのか?こんなアホみたいな事を癌になってからズーット考えてきました。腹が減ったら、食べて、排泄し、遊んで、仕事をして、眠くなったら寝付きました。これらの行動は全て自分の意思であり、そして、なんら不自由も疑問も感じませんでした。癌になる迄は・・・・・・。
そう、自分の『意思』どおりに手足は動いてくれましたし、景色も映画も観たい時に見られました。
でもそんな頭の意思とは全く無関係にある『身体の意思の存在』に気付きました。それは、もう一人の自分の存在の発見です。極アタリマエの事ですが、自分の意思とは無関係に胃腸も心臓も働いているし、拒絶反応では脳の意思以上に自分の存在(アイディンテティ)を主張します。これをハッキリ意識させられたのは入院中に全く偶然に手にした1冊の本です。『免疫』とありました。
免疫は願わなくても自分の身体を守ってくれていましたし、胃や腸も、脳の意識的な命令は必要ありません。逆説すれば体内は全て脳の意思には従いません。この文脈の流れに沿うならば、もう一人の自己の存在を認めざるを得なくなって来ますが・・・・。これは決して受け入れられ無いテーゼなのでしょうか(実は未だに模索しています。)

病や癌も末期になり、治癒生存を願う自分の意思とは真逆方向へ進行するもう一人の自分の意思の存在。最早、この存在を認めるべきなのか?身体の自己をも尊重すべきなのか?この『脳の自己』と『身体の自己』とのコミニュケーションが出来ない我々は、医学に依存すべきなのか?身体の自己を認めて別の方向を模索すべきなのか?・・・・退院までにガンバッテ考えたいと思います。

山崎 豊子様 ファンです。『二つの祖国』題名お借りしました。ご笑諾下さい。 INA Takasi

2月26日 難聴の患者さん。

外来泌尿器科の診察室での事である。最初の穏やかな声が次第に大きくなり、やがてあたり一面に轟くに至って私の耳にも届いて来たのである。医師と看護師がしきりに患者に話しかけているのだが、何度も同じ話で進展がみられない。患者の妻であろうか、医師の言葉を夫に伝えてはいるのだが、ラチがあかない。仕舞には喧嘩ごしである。従って言葉も荒くなる。どうやらその患者は高齢から来る難聴らしい。『アノゥー、この人耳が遠いんですわー』弁解の妻らしき女性の声である。
どうも補聴器もしていない様だ。ご不自由だろうと思っていたのだが・・・・

夜半の手洗いからの帰室途中、寝静まった病室のライトが灯っていたので、カーテンの隙間から覗うと以前診察室で見たアノ耳の遠いお爺さんらしき人と若い看護師さんが何やら話しているのだが・・・、要領が得られないらしく何度も聞き返しているのである。寝静まった夜半の事なので、大きい声も憚れるのか仕舞に看護師さんマスクを外してお爺さんの耳元で囁くのである。当然お爺さんに看護師さんの胸が覆いかぶさるらしく、其の度にライトに照らされてたお爺さんの顔も頬も、緩むのである。当然このお爺さんイヤホン無しの大音量でTV観賞ですが、憚る事無くものともしません。第一誰も注意もしません。でも奥さんの声だけは聞こえる様です。病院生活の一コマです。

2月25日 尿パット

2月24日に地下にあるコンビニで尿パットを購入1000円でお釣りがあったと思う。手術前のレクチャーで尿漏れは必発とあったので、それなりに覚悟をしていました。テキストでは多くの人は2~3ヶ月で緩慢ではあるが改善をみられるとあるが、やはり多くの人の術後の悩みはこの尿漏れである様だ。
本日から尿の量を渡されたレポート用紙に書き込んでゆく。私の場合は最初にパットの重量を秤りで計り(30gであった)パットの交換時に再度パットの重量(漏尿+風袋)を記入していく。トイレでは紙コップが準備されていて、備え付けの機械に流し入れると尿量(L)が数値表示されるので、此れも同様にレポートに記入していく。普通の人ではトイレでの尿量は30~50mL位が相場で、100mLは無いらしい。1日1.5L位はありますから、尿漏れが無い場合は30回はトイレとなります。逆に言えば膀胱が保持出来るのは50gで、それ以上の重さで漏れて来る事になります。なので、膀胱括約筋の筋力をトレーニングさせます。肛門の引き締め運動です。
勃起神経が温存された場合の尿漏れは術後も良好らしいとW主治医から聴きました。
私の場合もそうであった様ですが、排尿時には若干痛みが走りました。1日目の最大排尿量は180mLありました。

記録『桃色吐息』

K大病院トイレ爆弾騒ぎ



尿カテーテルも外れて身軽になった事から、トレッキング(階段)を兼ねて院内散歩を日課としていた。或る日、事件が勃発した。
1階外来トイレで用を済まし洗面台に向かうと、鏡の前に置かれた青色のデイバッグを取り囲んで、ガヤガヤと騒いでる。バッグに張り紙があり、赤いマジックで何やら大きく書かれているのが判った。私は咄嗟にヤバサを感じたが、身動き出来ない様に何度も読み返している人もいて、その人達は新たな行動に移す事無く、只々、顔を見合わせては又読み返すという(頭は動かせるが身体は固まってしまって)サブ・ルーチンから抜け出せない様である。
院内外で無線が飛び交い騒然と仕出すのは、それから半時も経てからであろうか・・・外来棟は閉鎖され、上空には数機のヘリコプターが舞い飛び、院の周辺道路には全てに検問が敷かれた。外来で処置中の看護師、医師、患者全員が避難した後には外来棟連絡通路を防火扉で遮断して、その前には制服の警察官と院の警備員が警備した。外来棟には一般人立入禁止の物々しさである。これがメディアで報道されたK大病院ダイナマイト事件の騒動開始の一幕である。

昼も3時頃かと想うが、病棟に事務局らしき処からアナウンスがあり、どうも入院患者が一人行方不明で捜索中であるらしい。愛用の青色のディバッグ諸共で氏名及び年齢もアナウンスされていたと記憶している。此の時点で既に警察も病院も容疑者を把握していたと考えられる。が、驚いたことにXXXのネットワークとは凄い物で、そのチャンネルの話に依るとこの行方不明者は認X症からか時々お散歩する習癖があるらしい。尤もそのソースの信憑性が判断出来ないからか、如何なる理由でか此の事(多分、確定診断の無い認X症患い)に付いて各メディアは触れていない。
警戒解除されたのは、夜も9時前後では無かっただろうか・・・・・。

新聞報道に依ると犯人確保とのニュースが流れたのは、事件勃発後の1月程後である。
インシュリン事件同様に、患いの場所には又別の患いが発生すると言う、何か悲しさを感じさせる事件でした。

2010年5月26日水曜日

血統・世襲制は進化(遺伝子)論か生態(人為階級)論か?

私が子供の頃、祖母から『あちらは代々何々のお家だから』と言うのを良く聴かされて来ました。
日本に拘らず人類は嫡男(初子)を大切にし、その家系を繋いで来たのです。私の場合では祖父の名前迄ですがNETで確認できました。五味康祐さんは人相を観ただけで嫡男かどうか判ると言います。『もし嫡男の人相で無い場合は過去に母親が堕胎したか、他に子供(長男)がいます』と述べておられますし、旧約聖書でもアブラハムの初子を神に捧げるお話が有名な様に、嫡男其の物を非常に大切にしてきた歴史がありました。それは、家業の継承者の意味以上に先祖(神)の復活再生は嫡男にのみ発現されるとの思想からではないでしょうか。(根拠はありませんが・・・)これを血統とし、その遺伝子(DNA)は綿々と受け継がれ家格(家柄)として成立せせて来たのではないでしょうか。指物師は手の小さい家系を繋ぎ、手油の少ない人は精密機械とかですが、しかし、この様な肉体的な要素は確実に遺伝するとは限りません。種牛程度と思えばいいでしょう。
しかしながら、確実に遺伝して行くものが存在しているのも事実です。

或る国に疫病が蔓延しました。ペストです。1438年のペストではイギリスの人口1/3が死んだと言いますが、ある種の人はペストに罹りさえしませんでした。地中海性貧血症の人々はマラリアには感染しせませんでしたが、攻め入った他国の軍隊は壊滅したと言います。紀元前400年の事です。その当時は神に選別された人々だったのです。が、その理由の正体はアプリオリにプログラムされた免疫と遺伝病です。此の疫学的事実は東京大学の多田富雄さんが述べておられます。
この血統(遺伝子)・世襲制に対し、人類が疑問を持ち始めたのは19世紀末であろうかと思います。ジエンナーの種痘から北里芝三郎さんが抗体を発見される迄待たねばなりませんでした。今ではチンパンジーは癌はおろか、エイズにさえ罹患しない事が判っております。決して選ばれた人々ではないのが、明らかになりました。今ではワクチンがあります。
他国の事も、自国の事も言いたくないですが、世襲制のロジックは、人間が血を理由に問答無用で作ったヒエラルキーに感じてなりません。
常に過酷な自然淘汰にある動物の世界には、当然ながら世襲制などは存在しません。

2月24日 雨合羽

膀胱と尿道の縫合検査です。アノ椅子です。此の頃になりますと、もうすっかり慣れたのか、言われ無くても学習されていますから、事は順調に進みました。検査はM医師がしてくれました。
M先生『あ~いいみたいですね。』カーテンの向こう側から先生の声が聞こえました。『先生、此の前の血液検査で、どうでした?輸血で何か支障出ていません?』と私。『少なくても、急性では何も無いですけどネ・・・』下腹部で何かが動いているのが判ります。ファイバーカメラでしょう。

人が血なる物に拘るのは、何も感染だけの理由だけでは無い様な気がします。宗教とかの教えでも在りません。それは、もっと根深い(自覚なき遺伝子に奥深く隠されて継がれて来た)、本能に近い、生物の営みを感じます。血イコール階級なるイメージからでしょうか?物理的にも同じ固体(肉体)を持ちながらも・・・人は血に拘り続けます。

足をお湯に浸しながら、湯船に座ってYちゃんを待ちました。入院生活も此の頃になると(練れとは恐ろしいもので)、羞恥心と言う物が有りません。もうすっかりバーデ気分です。水着で来るんやろか~とか、あらぬ想像を張り巡らします。背中で物音がします。へ?お着替えか?
などと想いながらも振り向くのはハシタナイので我慢していました。まるで、新郎が湯船で新婦を待つ気分です。
思わず振り返ったのは戸が大きく開き、姿が見えた時でした。何とYチャンは雨長靴に雨合羽、両手にはゴム手袋と言うイデタチでした。吃驚しました。これが病院と言うものか・・・。
私がバカでした。

2010年5月24日月曜日

2月24日 Yes We Can 看護実習生と一緒にお風呂

その看護実習生はYちゃんと言います。父親を早くに亡くした事。高校を卒業した後暫くは会社勤めをしていた事。父親の病床では十分な看護が出来ずにいた事情、その後悔から此の道で再出発を決意した事。特技はマッサージとか・・・その様な事を話してくれました。お返しに、私は何故この病院に入院する羽目になったとか、前立腺癌とは男の終着駅だとか、睾丸は未だ残っているのだとか、尿漏れするかもとか、大凡彼女には何の興味も縁も無い、詰まらん話をしました。早速家に帰って母親にボヤイタ事と察します。22日の昼下がりの事です。

この病院でも矢張りご多分に洩れず患者さん同士でミス看護師の美人コンテストらしきものがありました。コンテストと言っても何票とかの本格的な物でなく、唯の口コミに過ぎませんが・・・歯の無い人も、耳の遠いらしき人も、皆さん興味がありそうで末期癌の人も、目の悪い人も会話に参加します。私の集計に拠りますと、1位はYaさん。2位はNNさんで、僅差で競っていましたが、Yaさんは何時もマスク姿で私は顔もロクに見た記憶がありません。皆さん一体何を持って判断されているのでしょう。よく判りません。
23日は腹部の縫合してあったチタン製のホッチキス(ダンボールを留める金具)も外れ、シャワーの許可がありました。本日の膀胱検査がOKならシメシメで、入浴です。

研修生のYチャンが、『良かったですねー。軽くなって、身体でも清拭しましょうか~?』 と訊ねてくれます。『いいよ、膀胱検査が良かったら、風呂でも浸かるから・・・。』 と、私が言いますと 『では、お風呂で背中でも洗いますよ~。お風呂は何時でも入れるのかしら・・? 』と、思案顔。想わぬ返事に驚いて、『えェ?背中流してくれるの?』と、少し声が上ずって仕舞いました。生唾も飲み込んだかも知れません。返事を待つ迄も無く、YES、We  CAN と彼女は笑顔で応えました。

2月22日 可愛い看護研修生の登場

病院の朝は早い。朝食の終わった8時半頃にM医師が病室を訪ねてくれた。話は脇道にそれるが、医師の多忙さは私の想像を遥かに超えていた。昨日の深夜、医局で姿を見ていたからである。医師の持つ時間に大凡空間と言う物が無いのである。話題休閑、明日膀胱の画像検査をして、縫合に問題が無ければ尿道管を撤去します。と、言う事らしい。私にはデータが無いので想像でしか言えない訳だが、尿道管を挿入したままで、もし、患者が勃起した場合は膀胱から管が外れないのだろうか?或はその分を想定してやや深く管を膀胱に挿入しているのだろうか?それともそう言った事例は泌尿器学会に報告されていないのだろうか?『尿カテーテル挿入に関してのマニュアル』なるテキストがあれば一度読んでみたい。
M医師と入れ違いに担当のI看護師さんがエプロン姿の女の子と連れ立ってやって来ました。
話を聞いてみますと看護学校からの研修生の受け入れの様です。看護実習生として実習期間を私の看護に当たらせたいから、宜しくお願いします。と、言う訳だ。そうなのである。ここは教育病院なのであります。
私の返事は、勿論、喜んで、でありました。

2010年5月22日土曜日

奈良のせんと(千都)君は、何故キメラでなければいけないのか?

私は、生まれも育ちもK市である。奈良との拘りは強いて言えば昔の彼女が生活をしていた位である。が、折に触れ今でも良く奈良を訪ねて若き当時を偲んでいる(内緒だが)。『青丹(朱)よし』とは奈良をさした枕言葉(青の瓦と朱の柱)である。が、待って欲しい。もう一つの意味がある。魔除厄除けである。節分での赤鬼、青鬼のそれである。これは、渡来した弥生文明人の侵略に追いやられた縄文人の悲しい人々の末路を指していはいないだろうか?では何故、彼らは赤や青なのか?
答えは簡単である。
身体中に彩色された刺青だろう。そう、人間同士のお話で、まだ殺伐とした中にもロマンが覗える。
『桃色吐息』でも触れたが、動物との間に誕生した生き物はキメラと言う。神話の中だけで存在した生物である。尤も神も仏も存在しない世界には、キメラは有り得るかも知れないが・・・
許されない存在なのである。
他府県の事なので、多くは触れないが、何と奈良県民を宗教会を馬鹿にした話か。世界の笑われ物にならなければ良いが。奈良仏教会の皆さん再度立ち上がって欲しい。
キメラは許されないのです。貴方の子供がキメラならどうしますか?ヒコニャンとは訳が違うのです。千都君は星座になりますか?ネ。

追記2010/6/2
上記で述べられたキメラは医学用語でのキメラではありません。

2月20日 癌戦争。免疫の戦い!続く攻防(免疫戦士の変化)

昨日来の発熱もどうにか治まり、やや体調回復傾向にある。想えば、この前立腺癌発覚から発熱が多く、輸血の影響もあってか自己免疫力の低下は避けられない傾向にあるだろう。
私の免疫力の推移を公開してみる。PSA検診から手術後まで約6月間に渡る免疫の、戦いの、攻防の跡である。




11月の9~13日は急性前立腺炎にて発熱した頃である。白血球数の変化は無いがリンパの低下は顕著に現れている。以後平穏を保つが、1月27日から貯血が開始され、(2月3日には造血剤の影響が発現したのかWBCが増加を開始している)手術後の2月24日頃までリンパ球の減少は続く。約1月に渡る。その後緩やかに回復基調になるが、回復までには同様に1月を経に得るに至っている。このリンパ球数の減少とは逆関数でWBC(白血球数)の増加が開始され、2月10日には10000数を超えて上限値を逸脱し、手術の翌日17日に分水領を迎える。
16日手術当日にWBCが急激に活性化していると思われる。戦っているのである
最低限の値WBC(白血球)で3000ヶ、リンパ球で1000はどうにか守れた訳である。

投入薬剤処方等のカルテの一部を公開しました。治療記録詳細にあります。PDFファイルです。

【桃色吐息】の治療記録&日記にあります。

2010年5月18日火曜日

病気と食べ物 病色 肝腎腰[かんじんかなめ]の意味



安岡正篤さんが(著書、暁鐘か、朝の論語か)で、【顔が黄色いとか手の平が黄色いなら膵臓や脾臓が悪い。その様な時は黄色の食べ物(大豆とか)を摂取するが良い。膵臓は甘い物を好むので、糖尿病に十分気をつけなければならない。膵臓や脾臓を病むと、腎臓や膀胱に害を及ぼす。】とあります。漢方医学の本筋で、五行思想というものらしい。興味のある人は勉強して下さい。
私はリコピンだ、タウリンだとかはとても覚えられそうにありませんが、色で覚えると随分簡単便利なのでご紹介します。これは、病気になると患部の内臓の色が顔や皮膚など表に現れてきますので、その同じ色の食べ物を食べれば良いと言う古典的な知恵です。

        内臓     色    .嗜好    意味 
肝臓     胆嚢    緑(青)    酸         魂
心臓      小腸    赤          苦         神
膵臓(脾臓)胃     黄         甘         智(膵臓はINA流で追加しました) 
肺         大腸    白          辛         聡
腎臓      膀胱    黒          塩         志 

有名な腎虚などになりますと、白髪が増えて頻尿をきたします。前立腺癌は腎臓の弱りから来るとされ、その原因は塩の過分な摂取と言います。食品で良いのは黒豆、黒ゴマ、ウナギとか黒いものになります。五行説によりますと、 膵臓や胃が腎臓を悪くして前立腺に及ぼし、更に腎臓が心臓や小腸に害を与えるとあります。また肝臓はその字の如く魂を意味しており、腎臓は志を意味します。普通は肝心要と漢字をつかいますが。
腰は、腰抜け、とか腰が定まると言う言葉通り立つ意味から、【我十五にして学に志し、三十にして立つ 】論語そのものであります。若しくは塩と酢と言う食品の保存には無くてはならない重要な意味合いからかも知れません。怒れば顔が赤くなり心臓に悪いとか言うのも何と無く納得。
   

2010年5月16日日曜日

ついでにもう1つ ワン・チャイナのパンダ

癌患いの身には、どうでも良いことなんですが、ついでにもう1つ。2005年に、中国から台湾に友好親善大使としてパンダ゙を寄贈したいとの申し出がありました。人寄せパンダの事ですから台湾側は喜んだ事と思います。何せワシントン条約で自国の移動でなく外国へは学術目的以外は貸し出し禁止になっている上に年間1億円程のレンタルう料を中国に支払う訳で、寄贈と言うからには、当然無料(タダ)です。
日本などでは赤ちゃんパンダが産まれても、その国籍は中国でしかもレンタル料も追加課金になる訳ですから・・・
所が意に反して台湾の陳(総統)さんは、この申し出を断りました。
理由はハッキリと解りませんが、ワシントン条約に準じて輸出許可書の発行を求めたといいます。

舞台は変わって2004年になりますが、陳水扁さんの台湾総統就任式にダライ・ラマ法王の名代が出席したと、正式に亡命政府が発表しています。
これは、あくまでも想像ですが、晩餐会も終わっての団欒のひと時、ダライさんの名代は陳さんに、
〔パンダを寄贈するとか中国は言っていますが、パンダは元々四川省に昔から生息している動物で、また四川省も昔からチベットの領土なのです。今パンダをタダでお貰いになると、台湾もチベットワンチャイナを自ら認めた事になりますよ]と3段論法で・・・・・・
これが、外交と言うものでしょう。This is China.ですが、日本では人のフンドシと言います。
しかし2008年の馬(政権)さんは有難くパンダ(フンドシでは有りません)を貰われたと言います。どんなベクトルが働いたのでしょう。

2010年5月14日金曜日

癌の途中ですが・・・パックス・ブリタニカ カエサルの物はカエサルに

癌のお話の途中ですが、地政学のお話ではありません。散逸した文化財のお話です。
先日BS・TVで文化財の返還を求めてユネスコを調停に、国際会議にまで進展したドキュメントを放映していました。槍玉に挙がったのはロゼッタ・ストーンとツタンカーメンのマスクや何れも人気の高い文化財的価値のある物ばかりである。対決は 主にエジプト対イギリスである。イギリスは1900年代以前から初頭に、大英博物館がオスマントルコから金員にて買い受けたとしているが、時はパックス・ブリティシュの正に開花寸前の出来事である。1882年にはスエズ運河も手に入れた。飽くなき覇権を重ね、中国のお茶、ヒマラヤ山岳の高山植物、インドのお茶や香辛料と飽き無く、果て無くはお茶なるものを巡ってアヘン戦争まで引き起こした。
勉強不足でこれらの歴史観はありませんが、おる宗教団体が所有しているミュージアムでも同じ様に、他国の文化財と思える展示がゴロゴロと多数ありました。所有者の明記すらありません。誰々所蔵とか誰々寄贈とか言うあの名札の様なものが無いのです。
カンボジア等では、アンコールワットの壁(リトグラフぽい彫刻)を剥がしたとか、理由はガバメントの内紛で文化財を保護目的のチョー避難的行為の為だと言っています。当然他国に売られています。
文化財は民族のアイデンティティではありませんか。その民族の歴史でもあり、ご先祖様の遺品でもあるのです。他国がドウのコウの口や手を突っ込む話では在りません。これ等の遺品は民族を超越した存在である事は認めますが、即刻無償返還しましょう。
神の物は神に、カエサルの物はカエサルに(キリストの言葉で、駄洒落ではありません)返しましよう。解りましたか?

2010年5月12日水曜日

癌戦争 癌は如何にして生き抜いてきたか 

(続々)【 食事で癌が?そんなんで効くんか?】続き
桃栗3年柿8年癌の実19年と以前のプログで言ったが、その根拠は1個の癌細胞が無事生き延びて100日経つと満を得てやおら細胞分裂するのである。100日毎分裂するから1年弱で8ヶ、2年弱で64ヶ・・・野放しならば約9年で幅1cmとなる。野放しと言うのは免疫系の完全消滅や機能不全及び癌細胞が自然死しない場合であるから、臨床的に診て癌と確認できるには通常19年位が相場であるらしい。明らかに黴菌やウイルスが進入した場合は大貧食能を有した好中球と呼ばれる部隊が前線に赴く。問題は自己から発生した裏切り分子、遺伝子が変異した癌の処分である。遺伝子(DNA)が変異すればそれはもう立派な自己では無い筈だが。単純に戦闘を開始するのは、NKキラーと呼ばれる細胞だけなのである。このNKキラーの機能は青年期に最も高く40歳代で半減し70歳では著しく低くなる。また癌に対して免疫も出来る事も解っているが、NKキラーの詳しい存在は未知のままである様だ。さて、肝心のT細胞部隊はと言えば、只傍観しているだけなのである。何故なのか?癌が変装して味方軍に成済ましT細胞から逃走するからである。

移植された臓器などでは自己識別マーカーHLAと言うラベルが自動的に貼られるので、キラーT細胞はこのラベルを持つ組織を攻撃するのであるが、癌はこのラベルを無断で取り去ってしまうのである。或いは特異的な癌細胞での癌抗原(癌の目印)は多糖質で組成されていて、ラベルが元々貼れ無いのである。ラベルが貼れるのは癌抗原がタンパク質である事が前提条件なのである。
以上なる理由からであるが、結論的に言えば自己破壊を防止する為に3重の安全キーを備えた訳である。キラーT細胞攻撃も何処かの国の核も同じ様な安全策があったのである。
疑わしきは罰せず等と何処かで聞いたセリフの様である。
3重の安全キーとは、攻撃する細胞(選手)、許可する細胞(コミッショナー)、停止(レフリー)させる細胞と3つの同意を必要としますので、キラーT細胞に癌を退治して貰うのはなかなか容易ではありません。キラーT細胞が暴走すれば、肉も骨も溶け亡くなってしまうでしょう。
この様な事から、現時点では、予防的、健康的目的なら兎も角、免疫、食餌療法とかで癌を消滅させるとかは大変困難では無いかと私は考えていますが・・・・
食餌、免疫療法を開始される方はせめて、白血球数とかリンパ数を治療前後に比較管理したいものであります。そもそも、私の様に既に免疫が標準数にあれば、どうでしょう・・・・

HLA:白血球と血小板に存在する抗原=HLA(Human Leukocyte Antigen)で、名もそこに由来してます。細胞のレベルで自分と他人(自己と非自己)を見分けるHLAは赤血球よりずっと複雑で、一致するのは一卵性双生児ぐらいだといわれるほどです。
(赤十字血液センター引用)

(続々)食事で癌が?そんなんで効くんか?

(続)【食事で癌が?そんなんで効くんか?】続き
退縮老化した胸腺を若返りさせる方法はあるのか?言い換えればT細胞を活性化させる方法である。結論から先に言えば、今のテクノロジーでは不可能であるらしい。老化動物にどんな若い胸腺を移植させても直ぐに老化動物に適応した胸腺に退縮し、逆に若い動物に老化退縮した胸腺を移植すれば若い活性化した胸腺に復活するのである。このマジックは、マウスの実験でも明らかになっている。この胸腺の死活を制御するメカニズムのX軸は加齢であるのは疑う余地も無いが、加齢をカウントする機構が体内の何処にあるかは判っていない。このマウスを使った実験は東京大学医学部免疫学教室が明らかにしている。老化退縮した胸腺でもその機能は完全に完了した訳では無い。僅かながらも機能はしているのである。1973年頃には胸腺が関与しない末梢性T細胞の存在が明らかになってきているが、末梢性T細胞腫瘍での発症でその解明が望まれている。

私の白血球数は血液検査によると、7.9  10^9/μlであるから 7900ヶ リンパ球数は29.3%で約2315ヶで何ら申し分の無い免疫力である筈なのだが・・・・、癌である
悪性(マグリナント)が故に警察(免疫)を誤魔化して逃げているのか、癌の力が免疫力よりも強いのか?どちらかであろう。
続きは【癌戦争 癌は如何にして生き抜いてきたか】へ

2010年5月11日火曜日

(続)食事で癌が?・・・そんなんで効くんか?

【食事で癌が?・・・そんなんで効くんか?】続き
白血球中の好中球は外傷などで黴菌と戦いますが、その死骸はウミとなってでてきますので皆さんご存知の事と思います。さて、そのリンパ球ですが、リンパ球は次の成分から出来ています。
         Thymus                 Bone               Natural Killer 
リンパ球=T細胞(胸腺由来)+B細胞(骨由来)+NK細胞(自然由来)
     65~70%(1200~1600) 15~20%(100~200) 15~20%=(100~250)


このT細胞が腫瘍に大変重要な役割を果たします。好中球が外敵から防衛する軍隊とすれば、細胞は謂わば身内の治安を司る現場の警察官の役割なのです。B細胞の役割は過去の戦いの記憶をして、有事の際には記憶された戦歴から最も有効な手段を各部隊に伝達をする、後方部隊(参謀本部)です。これが、免疫の機序(システム)です。このT細胞はヘルパーT部隊、キラーT部隊とかサプレッサーT部隊とかに更に分類されるのですが、96%以上が生まれ故郷の胸腺内で死滅します。ではこの胸腺が無い動物は癌に罹り易いかと言えば、そうではありません。先天的にあるNKキラーと言う細胞が癌を破壊します。自然に備わっている所以からナチュラルキラーと呼んでいます。
この胸腺は腫瘍から我が身を守る大変重要な臓器とわかりました。しかし、この臓器は他の臓器とは異なり体内時計と密接な関係を持っている事もわかりました。人の場合は新生児で約10g。5歳で約30g。10代で早くも退縮しはじめます。40歳で約半分、70歳にもなれば只の脂肪ので機能するどころではありません。当然戦闘能力も弱体劣化の一途です。この胸腺については色々多岐に渡り面白い実験をしている人がおられますので、次回にお話をいたします。食餌とか免疫療法が朧気に理解できそうな気がしますので・・・

(続続)【食事で癌が?・・・そんなんで効くんか?】へ

食事で癌が?・・・そんなんで効くんか?

退院後、我が家の食卓の風景は一変しました。手の平を返す様にしてである。
 それまでの王者{お肉}が完全消滅して、新たなチャンピオンとして野菜と言うのか、精進料理の登場である。京料理の原点は中華料理と言うが、原点も原点、豆腐とかで、毎日がお盆の有様である。僕のキャラからして今更、草食系は無理だ! 我慢たまらず訊いたのが、表題の如くである。

食餌療法の幾つかの書籍の中では決まって、肉(四足歩行)と塩分がリスク因子として挙げられている。で、続いて、キノコ(アガリスク茸で有名)やプロポリスが体内の免疫を高めて治療効果を望めるとしている。とある医師の著作では癌が完全に消え去ったとまである。ホンマかいなぁ~。
但し、前提条件があって、血液中の白血球数が3000ヶ以上で、尚且つリンパ球が1000ヶ以上が対象者と言う訳である。この条件が必要で充分とは言って無い所が流石に医者らしい。が、兎も角、肉が食べたいが為には説得させるしか無いので、口論を避けてこのプログとなりました。旨く行くと良いのだけれども・・・・。先ずは、リンパ球の居所から探ります。血液内にあります。血液検査で貰う報告書に記載されている筈です。
記号はWbcLymphocyteです。

血液=血球(45%)+血漿成分(55%) 
血球=赤血球(96%)+白血球(3%)+血小版(1%) 
白血球(WBC)リンパ球(Lymphocyte 20~30%)+好中球(50~70%)
(4000~10000ヶ)                     (800~3000ヶ)     (2000~7000ヶ)

健康な人は通常 白血球=4000~10000個/L (1リットル、若しくは1mm立法平方m当たり)血液の出生地は大半が骨盤内(腸骨)で造血されます。白血球は未熟なままで胸腺に運ばれて胸腺で完成されます。この胸腺は紀元前40年からその存在は良く知られ、語源は香草タイムの香りに似ている事からチムスと呼ばれました。フランスではグルメに珍重されていますが、その機能が明らかになったのは今から約40年ほど前のつい最近の事です日本で言うと昭和の後半です。
(続)【食事で癌が?・・・そんなんで効くんか】?へ


  

2010年5月9日日曜日

手術の説明1 根治的恥骨後式前立腺摘除術Prostate,Radical Retropubic Prostatectomy について 

Prostate,Radical Retropubic Prostatectomy(根治的恥骨後式前立腺摘除術)と、何か難しそうな名前の手術で、要は根治目的で開腹して前立腺を摘出するのです。開腹式です。会陰式と言うのは肛門と陰茎の間を切開して前立腺を取り出す方式ですが、リンパ節取り出しに開腹するので2度手間にもなり、想像しただけで気が滅入りそうです。
取り出すのは精嚢、閉鎖リンパ節及び前立腺と勃起神経(私の場合は右神経温存左神経移植)となります。順行式手術です。

詳細図はIna_ProstateArt(参考図書) にあります。




前立腺の場所です。恥骨の奥に位置しています。恥骨が大きい場合は恥骨を削って手を入れるそうです。
開口幅も8Cm程ですから、無影灯でもなかなか見難いので頭を近づけて、時間をかけて、丁寧に処置するのです。






前立腺癌の好発部位で外側の場所をペリフエラルゾーンと言います。私も此処に癌がありました。







勃起神経の解説図です。私の場合は左側の神経を前立腺と一緒に切除しましたから、足の神経を移植しました。右側は温存です。








リンパ節の削除です。
閉鎖リンパ節左右とも削除しました。
取り出しても免疫力低下とかには然程影響はないそうです。














青色の部分を切り取るのです。
全部とります。




神経の詳細図です。




手術で精管も取り除きましたので射精は出来ません。




前立腺に手の入れる方向ですが、私の場合は順行式で上側から取り出しました。



以上の絵は【桃色吐息】と重畳しますが、参考にしてください。











一般公開講座で使用されました。キャンサーリサーチの作成した解説書です。
参考にしてください。大変わかり易く作成されています。
手術解説PDF

記録【桃色吐息】

2010年5月8日土曜日

2月19日 再発。 免疫様、もう、この狂素をポアしてやって下さい。

18日夜抗生剤の点滴も終り、腕にあったバイパス(点滴用の針)も取り去って、少しではあるが身軽になったので、昼下がり、図書室から借り出していた”予後について”のテキストを読んでみた。

再発について、約30%で認められる。とあった。根治治療(手術)で、である。
その対応としては、放射線照射か内分泌(ホルモン)療法で、最後に化学(抗がん剤)療法とある。化学療法で治まった後での再発は再燃と呼ぶらしい。再燃すれば、同治療継続か化学療法と内分泌(ホルモン)療法との併用で臨むらしい。その選択肢は当然医師であろう。それでも治まらない場合に付いての事は記載されて無い。再発、再燃の判断は主にPSA挙動の観察によって医師が行う。これがテキストの凡そな記載内容である。何れも身体に対する侵襲性は決して穏やかでは無いだろう。

そもそも、何故再発するのか?
既に転移していたか、手術で取り残したか(肉眼での目視では不可能なので)、どちらかであろう。切除した断端の病理学的知見を重要視する根拠はここにある。PSAの挙動(ダブリング判定や)がコンパスになる訳だが、癌の居場所が見つかった訳では断じて無い。しかしながら、再発時の治療では前立腺の撤去跡に放射線を照射しようとする。正に医師の感と言えよう。博打なのである。
もしも、癌が不在なら、なんら意味は持たないのであるが・・・
私は再発すれば、医師の力量にもよりますが、内分泌療法から始めようかと考えています。
一番の理想は免疫を高めて がん細胞が、自然死(アポトーシス)してくれると良いんですが・・・




               記録【桃色吐息】

2月18日 手術2日目 白雪オヤジ 桃色トイレ

手術2日目で経口食開始です朝は全粥。昼は移行食。夜は通常食となります。
やはり食事の力とは大きいもので、自力でガラガラとトイレにも行けるようになりました

ガラガラとは、入院された経験をお持ちの方はお分かりでしょうが、例のガラガラと音のする点滴スタンドがお供です。点滴スタンドには下側に尿バッグ、体廃液バッグ。上側から吊り下げてるのは痛み止めパックと栄養&抗生剤パック。華やかな典型的満艦飾正装スタイルです。
トイレは勿論男子用と言いたいのですが、色々工夫しましたが狭くてガラガラと一緒には入れません。そこで、少し広い個室の女性用トイレに潜り込みました。そこは白雪オヤジに相応しくピンク色したタイルと壁紙の世界でした。初めての経験でウットリとした時間を過ごしましたが、この病棟は泌尿器科用ですから、女性の入院患者は稀で、皆さんも平気で、寧ろ好んでこのトイレを使用している様でした。なにせ多くは前立腺癌の患者なのですから・・・・・



朝食は8時、昼食は12時 夕食は6時と決まった時間にベッド迄配膳してくれます。
点滴スタンド(ガラガラ)です
回復を待った病室です。   蛹(サナギ)になった様に、

深く、深く、眠りました。






2月17日 手術1日目 白雪オヤジ、管だらけで朝の目覚め

何時もの様に、何時もの時間に目覚めた。ベッドに拘束されている訳でもないが、体は自由にならない。触ると体中管だらけで、酸素マスクもしている。やっと昨日の記憶が甦った。手術をしたのである。手足に感触がある。お腹を触ってその存在も確かめた。どうやら五体は無事の様である。
手術後最初に迎えた朝の記憶である。その前後を辿ると・・・
手術室に持参したのは
1)T字帯(褌)
2)腹帯
寝間着(浴衣)は病院からレンタルしました。
手術室から帰って来た時は
1)酸素マスク
2)抗生剤点滴(腕)
3)背中からの痛み止めチューブ
4)お腹のドレーン(左右2本)
5)尿カテーテル
で、体中管だらけの格好で、帰室した事になります。
今日も絶飲食ですが、昼頃から飲水は許可されています。私はヘビスモの為か、全身麻酔の影響からか咽喉の荒れが強くて声が出ません。咳の度に開腹したお腹に痛みが走ります。この時ばかりはタバコの禁煙を誓いますが・・・・。
昼前には酸素マスクが外されて、歩行訓練です。病棟の廊下を男性の看護師さんに付き添って貰いながら少し歩いて本日の日課は終わりです。
何故かフラフラで上手く歩けません。
病室でひたすら回復を待ちました。



記録【桃色吐息】

2010年5月7日金曜日

2月16日 手術室 白雪オヤジ(新キャラ登場)の深い眠り・・そして目覚め


M先生の声は聞こえたが・・・執刀医であるW助教の顔はまだ見ていない。今は朝の8時半頃の筈である。麻酔科のY教授が来て背中に細い管を入れていく。
今日は手術日日和か手術台は満床満席らしい。
オペ専の看護師やチーム・メンバーを見たかったが・・・全員が戦闘服やったらオモロイな~・・・、あそこの毛が剃れてない・・・とか、何とか・・・この後の記憶が全然無い。容易く昏睡したらしい。

・・・・・・・只今中手術・・・・・・・只今中手術・・・・・・・・・・・・・只今手術中・・・・・・・・・

意識が戻ったのは、教授の声でであった。決して王子様のキスで目覚めた訳では無いのだ。夜の9時半頃と聞いている。W助教の声も確認できた。場所は解らない。部屋は暗かった(多分瞳孔の問題で)。私を挟んで教授に説明をしている。直腸と前立腺の癒着が酷く剥離時で出血を余儀なくされた事。リンパ管断端では転移が認められなかった事(術中の病理判定の見解報告)。前立腺は綺麗に摘出出来た事。神経移植はトラブル無く成功した事。それらを咀嚼して教授は再度、横にいる家族に説明をしている。どうも話を聞いていると自己血を使い果たしてしまった様子である。で、輸血は如何?とお勧めの様で、量は800mLらしい。入れた方が、傷の治りも断然早いし、予後もいいですよ~、とM先生。私は薬で上の空。朦朧としている。声も出せない。只々ウンウンと、首を縦に、横に、振るだけである。そんな訳で輸血されていた。合計2Lになる。飲まされたムーベンと同量である。2Lは致死量だ~。私には輸血されていた記憶はありません。多分、2度目の意識不明に堕いっていたんだと思います。
こんな事知らなくても生きて行けるんですが、癒着剥離は剥離機と言う機械を使用するそうです。
オイ!俺の純血はどうなるねん?




記録【桃色吐息】

2月16日 手術室 手術着が迷彩の戦闘服とは知らなかった


三人の童女の背後にある大きな扉が開き、私一人がその中に案内された。神々しい光の空間である。オペレーション・シアターと書かれた案内がエレベータの中に在ったが、兎も角広い。十分に余裕を持った間隔で幾つかのベッドと機材が並んで置かれている。ここで素裸になりベッドに入った。素裸でベッドに入るのも、何年振りだろう。低反発ベッドで身体の下には温めた毛布が敷かれた。準備してくれたのは手馴れた看護師さんで、私の主人もこの前、前立腺癌で手術をしたばっかりなんですよ。と身体の上にシーツをかけてくれながら話し、多いんですよ前立腺。(この手術は貴方一人だけではないからね)と、案に慰めてくれている様でありました。ご主人も此処で手術?とかお互い返事に困る質問は控える事にしました。、準備も終わり、幾つかの扉を潜り手術をする場所に運ばれました。其処は周り一面に機械に囲まれた空間で天井にはTVでよく観る無陰灯(トンボの眼の様なライト)と、すっかり手術も忘れて、やや興奮気味で、興味津々です。宇宙船のオペレータみたいに幾つかのモニターを点検している人がいました。麻酔医のC先生です。軽い笑みで挨拶を交わしましたが、驚いたことに彼の装いは迷彩色を施した戦闘服ぽいのですヘッドホンはしていなかったので安心はしました。緑色は赤の補色なので解りますが、これは、より進化させたものと言えるでしょう。これならば、少々患者の血が吹き出したとしても、あまり気にならなくて済みそうです

記録【桃色吐息】

2010年5月6日木曜日

2月16日 手術室 光と3童女のお出迎え


寝不足の様である。頭が重い。まぁ~どうせ嫌ほど眠る事になるので、バランスは取れるだろう。
昨夜主治医のW先生とM先生が病室に体調伺いに来てくれたが、早く寝てくれただろうか?前日飲み会なんかで2日酔いなんて事は無いよな~?もし、眼とかが、充血して真っ赤になっていたら怖いよなぁ~。とか色々想いながら、どうせ脱いでしまう下着を履き替えた。もう癌の事など頭からすっかり消えてしまっていて、正常な頭の働きは停止状態にある。手術の前日に夫婦喧嘩などされた日には患者はタマランやろうなぁ~。これも運不運と諦めるしか無いか・・・患者の頭はもう色々に巡るものである。
朝6時に浣腸をして貰ったが、もう出るものも何も無いらしく、諦めて手洗いから部屋に戻ると、これからマーキングしましょう。と言ってお腹のメスが入る部分に×印を2ヶ所。神経を取り出す足の部分に3ヶ所×印をされた。患者の取り間違い防止のためである。お腹に姓名でも大書きした方がいいかも・・・
手術室は4階にある。歩いて自主的に行くのである。看護師も同伴しない。どうも、途中で患者が逃げ出す事は想定していない様である。なので、強引にベッドに縛り付けて運ぶ等と言う事は無いらしい。これも友人からの話であるが、病室で麻酔してベッドに寝かせたまま手術室に運ぶ病院もあるらしい。一見合理的な手段とも思われるが直前の逃亡劇を避けたい病院側の本音だろう。患者が高齢者や子供では、ソレなりに想像ができるからまるきり笑えない。
エレベーターに乗ったドアーの正面にもドアーが設えてあって家族と共に4階でおりたが、驚いた。
そこは光の世界なのである。自然界や日常にある光景では無い。凡そ陰影などと言うものがないのである。やや目に慣れたダダッ広い光の空間の中に3人の童女がいて、出迎えてくれるのである。早くも、あの世かとたじろいだ。

記録【桃色吐息】

2月15日手術前夜 麻酔科C医師との約束


15日夕、麻酔科のC先生が尋ねて来てくれた。全身麻酔・硬膜外麻酔、アレルギーと麻酔ショック及び合併症などの説明とそれに伴う承諾書へのサインである。30歳半位の中国の人で、研修医とあるが、院生である。指導医はY教授で朝の8時半に手術室で麻酔開始の予定である。事前に貰っていた書面では、6時に浣腸を済ませ、入浴と洗髪、髭剃り、排便排尿後、弾性ストッキングを着用をして、7時には手の甲に麻酔のシールを貼ります。これらの次第を済ませた後は、家族との別れに時間を使います。陽根部の除毛は予定にはありませんでした。
14日夕食から絶飲食でムーベンと言う便意を促す液体を2L飲みます。大変気持ち悪いので、利便では無く、ゲロ支援促進剤と思えば良いでしょう。本場シンガポール程では無かったのですが、日本バージョンのマーライオン並に連続でゲーゲーしました。余談ですが・・・。
C先生との最後の会話で、私を生きたままこの部屋に帰らして下さい。との要望に、C先生は、分かりました。ハイ約束します。必ず約束は守ります。私のバイタルはこの先生に預けました。
この夜、睡眠導入剤を1錠NN(看護師)さんから貰って服用したと思います。
今宵はどんな夢をみるのでしょうか・・・

記録【桃色吐息】

2010年5月5日水曜日

2月15日 手術前夜 存在の意味論(勃起神経存在の理由)


形ある物から全ての物体を取り除いた後に残るものは、数値である。これは数学だが、では、その物体から物体が持つ機能、役割を取り除いたあとには、何が残されるのか・・・

人で賑わう、とある場所で献血の行列に並んだ。手術後1月程経た時の事である。主治医W助教の言った非自己血の被輸血者の献血拒否の言葉を思い出したからである。(12月14日 【続】エホバ)説明を聞くと、ご遠慮下さいとの事である。言葉で列を去った。暫くして涙が滲み、やがてそれは嗚咽と代わった。もう僕は普通の人で無い、皆んなと一緒で無い、それは孤独感からか、寂寞とした寂寥感からかは分からない・・・

12月24日(続)立ち上がれるよな?日本↑↑(K大学の理由)では、勃起神経移植を手術の決定的理由としたが、それは今でも否定はしない。が、本当の事を証すと、効果には然程確定的な期待は無かったのである。現に両神経を残したオペでも勃起回復が如何に困難かの事情は既に得ていたからである 。では何故なんだろうか?前立腺癌と知られた家族や友人には神経移植で2~3週間位で元に戻るから。と、言い訳がましく嘘の説明していた。その心理的理由とは何だったんであろうか?同情や哀れみを避けたいが為であろうか?

実態の見えないボヤけた自分の言動の輪郭が鮮やかになったのは、献血辞退での嗚咽の後である。W助教は献血拒否が怒りとなったが、私は涙となった。その根底の想いは恐らく同じであろう。寂しさからや悔しさで無く、孤独感からでも無く、疎外感からではなかろうか乳癌で乳房を切除された女の人は男の愉悦の為に偽豊胸する訳では無いだろう。勃起神経移植も自己の愉悦の為にだけでは無いであろう。義手も、義眼も、外観的美学でも無く、只ひたすらに疎外感から逃れるためではないだろうか。だとすれば、機能もしない只の物体の存在の意味は疎外感から自己を守る為のもの、それは愛ではなかろうか?他人に対する愛、自己に対する愛、それは今の私には解らないけれども・・・

実存は本質に先に立つ。  ジャン・ポール サルトル
存在とは愛である。 ヒューマニズムである。Ina.Takasi

記録【桃色吐息】

2010年5月2日日曜日

2月15日前立腺癌 颯子よ、もっと、踏んづけておくれ。


この出だしで解った人は今や死語となったが昔は文学青年だったに間違いないでせう。
手術前夜、昔に読んだ谷潤の瘋癲(ふうてん)日記が蘇ってきた。
不能ニナッテモ在ル種ノ性生活ハアルノダ。(訳:インポでもそれなりのHは出来るのものだ)

70を超え、生に対しては執着はないが、性に対しては死後も女の足を舐めていたいと言う男のキモイ執念を描いた谷崎潤一郎の【瘋癲日記】の一節である。死因は腎不全と心不全が原因と伝えられているが、38歳の時の作品【痴人の愛】では早くも前立腺癌を予感させる異常さが窺える。
手術後変態にならざるを得ないのか?谷崎に対して一種憧憬と尊敬が交差した複雑な想いに駆られる。一方で、非文学(野獣の如く)性の期待、との綱引が開始されたのである。想いもよらぬ心の葛藤である。前立腺癌で亡くなった映画監督の心情がシミジミ染み込んで往く。今、この病院からトンズラすれば、解き放たれるのだが・・・、死を覚悟せねばなら無いだろう・・・・・・・。手術は明日なのである。

記録【桃色吐息】

2月13日 前立腺癌世界チャンピオン 世界ランキング(世界の事情 流行り地域)


前立腺癌の原因調査 その2

前立腺癌の原因とする【若年からの活発な自慰や性行為。乳製品や肉の過度の摂取, レトロウイルス、遺伝子(家族病)、ストレス 飲酒、喫煙】等が危険因子として挙げられてますが、何れも断定出来うる決定的な因子は現在も発見されていません。

癌の罹患率をグラフにした世界の分布マップDataがありますが、そこでは地理的同一条件下で人種別罹患癌の観察が出来ます。疫学的には大変有用なDataです。
人種カテゴリーとしては、ニグロイド、コーカソイド モンゴロイド日本人 同中国人の4種別を対象として、このマップでは罹患癌4位までを調査していますが、第1位の癌だけを特徴としたマップに作成し直しました。【医考会より 引用】
【前立腺癌が流行っている国】
http://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnx6ZW5yaXRzdXNlbm95YWppbm90YW1laWtpfGd4OjI4MDBkMzEyY2MzMzE1YmE


疫学的には論理の推考も可能であり、既に研究者達が競って研究成果を発表していますし、遺伝子や生活習慣ではトレーサビリティも可能で、数値化してその正当性を評価できるものと考えられます。しかしながら、今尚、個人的情報の裏側にある自慰統計と前立腺癌との調査は評価に値する範囲には達していないと思われます。
また、自慰と前立腺癌の因果関係ではイギリス(Science Daily)とオーストラリアの研究者Masturbation 'cuts cancer risk'ではまるで正反対の結論を導き出しています。【医考会より 引用】

疫学に興味がある方は、下をクリックして下さい。前立腺癌のランキングと世界チャンピオンがわかります。
【前立腺癌世界チャンピオン】
http://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnx6ZW5yaXRzdXNlbm95YWppbm90YW1laWtpfGd4Ojk1NWFiYjJjMDZhMjkxOA


記録【桃色吐息】

2010年5月1日土曜日

2月13日 全快地蔵


急患の入り口近くの小さな祠(小屋)の中にお地蔵さんがおられます。お地蔵さんのお名前は【全快地蔵】さんと言います。この町では建物の正面玄関は南向(朱雀方向)きが正式で、西向きの仏教思想とはやや異なるようですが、格式の高さを現しています。京都では八坂神社や平安神宮も御所も皆正面玄関は南にあるのが普通で、八坂さんの本殿も南向きです。お地蔵さんも南に向かっておられますから、京都に習われたのでしょう。縁起の程は知りませんが、幾つもの千羽鶴とお花に囲まれて、前にはお供養物が絶え無く供えてあります。短冊の一つ二つを読んでみましたが、子供の病でしょうか、母親の哀切な願いが綴られてあります。此処は大学病院ですから、難病や奇病を抱えた患者さんが地方からも数多く治療に来られます。このお地蔵さんは悲喜に満ちた幾多の人々の願いを聽いて来られたのでしょうか・・・私も違わず心からお願いしておきました。生きて帰れますように・・・

手術をしますので、親しい人とか家族からお守り5袋程戴き、大切に持ってきています。
私は無宗教ですから、何の役にも立たないとか、お守り同士で喧嘩しはるから一つになさいと言う、信心深い人の忠告にも、それは神さんの事情で、人には関係無い話や。とか罰当たりな事も言います。ではありますが、買ってくれた人の気持ちや真心は大変嬉しく、大切に思います。
神仏に祈る姿は真に美しいものがあります。涙に溢れて人の心に響きます。
家族連れでお掃除をして沢山のお供え物をしている人と遭遇しました。聴くと、御祖父さんが助かったのでこうしてお礼をしているのだ。と、言っておられました。
このお地蔵さん年間200万円ものお賽銭があるそうです。
このお金でお地蔵さんのお世話をするそうですが・・・
助けたのは医師、看護師、スタッフ全員。とかの意地の悪い、ヤボな事は言わないでおきたいものです。

記録【桃色吐息】

2月12日 患者の心得1,2,3


女性の入院患者さんに伺った話ですが、女性の病室では患者さん同士が抱き合って、お互いの病状を憂い慰めあう様です。抗がん剤の影響からか髪の毛が塊でボソッ、ボソッと抜け落ちるみたいで、それを手鏡で観るものですから、就寝中に拘らず半狂乱になるんですね。私が知っている患者さんは女子高生の年頃でしたが、子宮頸癌と言っていました。数名以上はいたでしょうか。
男性の場合、私もそうでしたが、癌で入院となると覚悟を決め頭は短く刈り上げて臨みますが、女性はそうもいかないのでしょう。男性の病室で夜中に発狂すれば、慰めて貰える所かベッドから蹴落とされるのがオチです。


そこで患者の心得1,2,3
 1) 夜中にバリバリとセンベイ(煎餅)などを食わない。
 2) 消灯してからはブーブーとオナラをしない。
 3) 例え尿瓶があってもボジョボジョとオシッコをしない。歩けるならサッサとトイレに行くこと。
 4) 間違って他所のベッドのカーテンを突然開けない事。
 5) パッチ(下着)のままウロウロしない事。
 6) 携帯電話で仕事の話をしない事。(特に大声)
 7) 携帯電話はマナーにする事。
   (男性は誰しも仕事は気になるものです。貴方だけではありません)
 8) TVの音声はイヤホンにする事(補聴器の人は看護師さんにやり方を尋ねて下さい。)
 9) 夜中に独り言をボソボソ言わない。
10)イビキや歯ぎしりは出来るだけ控えて下さい。
ザットですがこんな所かと思います。

記録【桃色吐息】