2012年2月15日水曜日

毛はえ薬で前立腺癌が治るとの報道がなされましたが・・・。




前回は更年期障害を寛解させるザクロで前立腺癌が改善するお話をしましたが、続けて、今回は毛はえ薬で前立腺癌が治るお話をします。
213日の日経メディカルオンラインで以下の報道がなされました。
『無治療での経過観察(アクティブサーベイランス)が選択された低リスクの前立腺癌患者にα還元酵素阻害薬デュタステリドを投与すると、偽薬群に比べて前立腺癌の進行リスクが4割程度下がることが、二重盲検の無作為化試験REDEEMで明らかになった。カナダToronto大学のNeil E Fleshner氏らが、Lancet誌電子版に2012124日に報告した。
2003年フィナステリド(2型阻害)で行われた試験(PCPT)、及び2010年デュタステリド(1、2型阻害)で行われた試験(REDUCE)のFDA検証結果では、PSA値の低下及び癌の発症予防的効果は認めたが、より悪性度の高い癌の発現増殖を招き深刻な結果であった。と、何かでの記憶がありました。今回の発表での詳細は不明ですが・・・。同じ様な結果と思います。
理由は以下。

『ホルモン治療で効果が認められるのは分泌細胞由来の癌のみであり、悪性度の高い低分化癌は基底細胞や神経分泌細胞由来(TA細胞時アンドロゲンの影響を受けないで分化した細胞)が多く、増殖因子は分泌細胞死時のサイトカイン経路による脱分化の可能性があるのでは無いかと考えています。』

ジョンズホプキンス大学のDr. Patrick Walsh氏は言う。

『ジョンズホプキンス大学のDr. Patrick Walsh氏は付随する論説のなかで、デュタステリドにこれらの高悪性度の腫瘍を減少させる効果がみられなかったことには「いくぶん失望した」と述べた。また、同氏はREDUCE試験とPCPT試験で得られたエビデンスに基づき、デュタステリドとフィナステリドの効果がグリーソンスコア(GS56の腫瘍に限られているように思われることから、両薬剤は前立腺癌を予防するのではなく、致命的である可能性が低い腫瘍を一時的に縮小させるにすぎないと主張した。

もう、そろそろ、PSA再発の患者にホルモン治療薦めるのやめたら?

日経さん 色々な情報は感謝しています。でも、読者は医療関係者ばかりでなく、僕たち患者もいます。僕たちは知識も無く右往左往しています。その情報の選択、或いは治療の意思決定は常に命がけなのです。できればの事ですがポジネガ合わせた報道を希望したいと思います。



Note

フィナステリド・デュタステリド  低単位アンチアンドロゲン で、発毛・育毛剤に使用されています。穏やかな薬効です。

FDA アメリカ食品医薬品局

サイトカイン 器官を介在しない細胞間の物資情報のデリバリィー。

参考文献・資料

『日経メディカル』
デュタステリドが低リスク前立腺癌の進行を抑制
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/201202/523602.html
「海外癌医療情報リファレンス」
フィナステリドの前立腺癌予防効果が立証
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/nci_clinical/index.php?page=article&storyid=367
「海外癌医療情報リファレンス」
デュタステリドは前立腺癌リスクを低下させる
http://www.cancerit.jp/xoops/modules/nci_clinical/index.php?page=article&storyid=441
『MAB(ホルモン療法)で前立腺癌の転移を誘発促進させるネスチン』について
http://ina-takasi.blogspot.com/2011/05/blog-post.html

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