2010年6月2日水曜日

夢の癌治療薬 寿命も100歳まで伸長(マウスでの実験)既に実用臨床も・・・(免疫抑制剤)

【7月9日 AFP】イースター島(Easter Island)の土壌で発見された化合物をネズミに服用させたところ、寿命が飛躍的に延び、人間なら100歳以上に相当する長生きとなったとする研究結果が、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。Nature Vol.460 duly 2009で夢の様な話である。
同島のポリネシアン名「ラパ・ヌイ」に由来)」からラパマイシンと呼ばれ、英名シロリムス(Sirolimus)
米テキサス大などの研究チームは元々抗がん剤の延長上にある免疫抑制剤や長寿延命剤、癌抑制剤に効果があるとしている。2008年10月7日に米国食品医薬局より、腎機能低下のリスクを警告するラベルを訂正する許可が出されている。
一方日本では参天製薬株式会社(本社:大阪市)と、マキュサイト社(本社:米国カリフォルニア州)は、シロリムス製剤(開発コードDE-109)について、日本(アジアを含む)での全ての眼疾患を対象に開発および販売実施権に関する契約を締結した。
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2009年の研究では、ラパマイシンを与えられたマウスは与えられる前に比べて寿命が28-38%伸長し、最大寿命が全体で9-14%伸長した。同研究の注意書きによると、実験は生後20ヶ月の成熟したマウス(ヒトに換算すれば60歳前後)で行われた。これは、一般的な延命策と違って、すでに高齢化しているヒトの寿命を伸長させる可能性を示唆している。しかし、前述のとおり、ラパマイシンには強い免疫抑制作用があり、医師の処方によらない安易な摂取はやめるべきであるとしています。
実はこの研究は、NIH(アメリカ国立衛生研究所)による大規模な長寿研究プロジェクトの一環であり)、レスベラトロール以外にも緑茶抽出物、クルクミン、アスピリン、降圧剤エナラプリル、コレステロール低下剤シンバスタチンなど、広く使われている医薬、体によいといわれる多くの物質が試されています。これらを押しのけてラパマイシンの効果が実証されたのですから、注目に値する結果であるのは間違いありません。

(以下: 京都薬科大・応用薬理 抜粋引用)
一方,PTEN の変異もmTOR 阻害薬に対する感受性に影響を及ぼす.Yu らによると,8種類のヒト乳癌細胞の内,CCI-779感受性を示した6種の細胞はPTEN の欠損やエストロゲン受容体陽性あるいはHER2/neu の高発現などの性質を有しており,CCI-779 に耐性を示した細胞にはこのような性質が認められなかった(Endocr Relat Cancer. 2001;8:249-258.).これらの結果は,p53 やPTEN の遺伝子変異パターンを解析することにより,癌細胞のmTOR 阻害薬に対する感受性が予測可能であることを示している.

血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現もラパマイシンによって抑制されることが報告されており,Guba らは免疫抑制に用いられる用量のラパマイシンが癌転移モデルおよび腫瘍移植モデルにおいて著明な抑制効果を発揮し, その作用機序として血管内皮細胞の増殖および管腔形成を共に抑制することを報告している(Nat Med. 2002;8:128- 135.).

現在3種類のラパマイシン誘導体の臨床試験が腎細胞癌および乳癌患者などを対象に実施されている.特に,p53 やPTEN の変異はヒト腫瘍の50% 以上に認められ,mTOR 阻害薬がこれらの遺伝子に変異を持つ細胞に対して選択的に効果を発揮することは,正常細胞へ攻撃を回避し,腫瘍特異的な癌治療を行う上で非常に有用な薬物であることを示している.全文はコチラに。
京都薬科大HP
Nature.2009.v460.p392-5.pdf

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