2010年5月26日水曜日

血統・世襲制は進化(遺伝子)論か生態(人為階級)論か?

私が子供の頃、祖母から『あちらは代々何々のお家だから』と言うのを良く聴かされて来ました。
日本に拘らず人類は嫡男(初子)を大切にし、その家系を繋いで来たのです。私の場合では祖父の名前迄ですがNETで確認できました。五味康祐さんは人相を観ただけで嫡男かどうか判ると言います。『もし嫡男の人相で無い場合は過去に母親が堕胎したか、他に子供(長男)がいます』と述べておられますし、旧約聖書でもアブラハムの初子を神に捧げるお話が有名な様に、嫡男其の物を非常に大切にしてきた歴史がありました。それは、家業の継承者の意味以上に先祖(神)の復活再生は嫡男にのみ発現されるとの思想からではないでしょうか。(根拠はありませんが・・・)これを血統とし、その遺伝子(DNA)は綿々と受け継がれ家格(家柄)として成立せせて来たのではないでしょうか。指物師は手の小さい家系を繋ぎ、手油の少ない人は精密機械とかですが、しかし、この様な肉体的な要素は確実に遺伝するとは限りません。種牛程度と思えばいいでしょう。
しかしながら、確実に遺伝して行くものが存在しているのも事実です。

或る国に疫病が蔓延しました。ペストです。1438年のペストではイギリスの人口1/3が死んだと言いますが、ある種の人はペストに罹りさえしませんでした。地中海性貧血症の人々はマラリアには感染しせませんでしたが、攻め入った他国の軍隊は壊滅したと言います。紀元前400年の事です。その当時は神に選別された人々だったのです。が、その理由の正体はアプリオリにプログラムされた免疫と遺伝病です。此の疫学的事実は東京大学の多田富雄さんが述べておられます。
この血統(遺伝子)・世襲制に対し、人類が疑問を持ち始めたのは19世紀末であろうかと思います。ジエンナーの種痘から北里芝三郎さんが抗体を発見される迄待たねばなりませんでした。今ではチンパンジーは癌はおろか、エイズにさえ罹患しない事が判っております。決して選ばれた人々ではないのが、明らかになりました。今ではワクチンがあります。
他国の事も、自国の事も言いたくないですが、世襲制のロジックは、人間が血を理由に問答無用で作ったヒエラルキーに感じてなりません。
常に過酷な自然淘汰にある動物の世界には、当然ながら世襲制などは存在しません。

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